2012年2月11日土曜日

犬とでも暮らそう

EUの危機は、その原理的な矛盾に起因している。早晩破綻するだろう。

金融デリバティブの規制は、終わりのないいたちごっこだ。グローバルな金融制度の協調は、各国の政治的、経済的、制度的、文化的違いと各国利害の衝突を克服して実現するとは思えない。その努力は、今現に行われているが、それは途方もなく複雑な作業だ。

日本の財政再建は、政治的混乱と高齢化を考えると、成功の見通しが立たない。大量保有している郵貯と国内金融機関は国債価格暴落の可能性を考慮し始めている。彼らが売り始めれば、本当に暴落が始まる。これは、悪循環の過程だ。

日本の財政、金融破綻と、欧州のそれとは、相互抑制的ではなく相互強化的だろう。

日本と欧州の、いや、日本か欧州のいずれかの経済が破綻すれば、今多少の明るさが期待されている米国の経済にも打撃を与えるだろう。中国経済を中心とする新興国経済の自律性、いわゆるデカプリングがそのとき証明される公算は極めて低いと見る。

金を持っていれば安心だと思っている人がいるが、金相場こそ今では投機資金が支えている。世界経済が壊れたとき、すなわち、投機資金がしぼむ時、金価格が維持される保障はない。

すでに、経済と金融のグローバル化、すなわち、世界的な相互依存化は、誰もコントロールできないほど強く、また複雑になってしまっている。

このことを考えるとき、いつも旧約聖書のバベルの塔の話を思い出す。人は、不遜にも天に届く塔を造ろうとして、言語、すなわちコミュニケーション不良を来たして、事業は頓挫する。全くよく出来た寓話だ。

世界経済の破綻の前に、東京を巨大地震が襲うかもしれない。そうなれば、それがまた世界経済の崩壊の過程を早めるかも知れない。今後4年のうちに東京を直下型地震が襲う確率は7割だそうだ。

そう言えば、原発の使用済み核燃料の安全な管理が、今後千年にわたって一度も失敗しないなどと誰が信じられるだろう。

以上のべたリスクは、どれ一つとして杞憂ではない。どれも非常に合理的なシナリオだ。

だとしたら、私は、家族と共に、逃げるべきか。

どこへ。逃げるとしたら国外に違いないが、国外へ逃げたとして、逃げ切れるか。

日本の地震と原発のことを考えれば、海外に逃げるに如くはない。しかしそれでも、金融資産を速やかに持ち出さないと、円が暴落すれば外国で金詰りになるのは避けられないかもしれない。海外送金が禁止される可能性もある。

地震と原発以外のシナリオでは、どこに逃げても経済的な有利を確保できるかどうか心もとない。何せ世界的な恐慌なのだから。だとしたら国内にいたほうがましだろう。

いずれにしろ、命に危険がない限り、家族を逃がすかも知れないが、私は逃げないだろう。この年になって、今更故国を捨てたくはない。

いざとなったら、田舎で自給しよう。犬とでも暮らそう。放射能については、届かない場所が日本のどこかに残ることを祈るほかない。

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